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2008年3月

ルリ4

 マロンは本当に良い子なので助かった。アパートで猫を飼っているなどということがばれたりしたら大変なことになる。ミルクを飲む量も少しずつ増え、あの日、寒さと空腹で震えていたマロンはもういない。時折小さな鳴き声をあげ、部屋のじゅうたんを相手に独り遊びをしている。夜は私のそばに来て、母に寄り添うかのように静かに一緒に眠る。
「このまま飼ってしまいたい」と、つい思ってしまう。

 マロンの飼い主は月曜の夜、引き取りにやってきた。
「マロン、いい子にしていたか?」
とびきりの笑顔をマロンに向け、私への挨拶はそこそこにドアを閉めた。
 今度会ったら名前を聞こう。また、今週末は仕事で、マロンを預けに来るかしら。早くマロンに会いたいわ。次は離乳食を作ってあげましょう。早く週末にならないかしら。

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ルリ3

 休日の遅く起きた朝、ゆっくりとコーヒーをいれていると部屋の呼び鈴が鳴った。私の部屋を人が訪ねてくるなどということはありえないので、どうせ新聞の勧誘であろうと無視をした。けれども立て続けに3回連続で鳴らされたのでは仕方がない。不用心にもドアを開けた。

 差し出された薄茶色が目の中に飛び込んできた。
「この土日、マロンを預かってもらえませんか?」
「マロン?」
「僕は、土日は泊まりで仕事の時が多いもので。……ミルクさえ与えておけば、あまり鳴かずに静かにしているいい子なので。」
「え?」
栗色の小さな子猫は、大きな瞳でじっと私を見つめている。私は知らぬうちに「はい」と応えていた。
「ありがとう!宜しくお願いします。」
と笑顔で言うと、3日前に子猫を自分の部屋に連れ帰った男は名乗らず、部屋の番号だけ告げてドアを閉めた。

階下に住んで居るんだ~。

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