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ルリ13

 高校を卒業して上京して就職。会社での単純な仕事にも一人暮らしにも慣れたけれど、東京で友だちを作ることは難しかったわ。ファッションの話も映画の話も恋人の話も、どれも興味があったのよ。けれども、どんなふうに言葉を挟んだらいいのかわからなくて、都会の女の子たちとうまく話ができなかった。そのうちに私は、「無口で地味な子」というレッテルを貼られて、職場で独りポツンとしていても、誰も気にもとめてくれなくなっていったわ。正直、独りの方が気が楽だったしそんなに辛いことではなかったわ。それでも、たまには仕事帰りに一緒に食事をしたりショッピングをしたり、そんなお友だちは欲しかった。

 私の寝室に、そんなに新しくない小さなテレビとビデオデッキをセッティングしている仁さんの背中。この背中が、私の東京での生活を変えてくれる。そう信じたかった。
 足下にまとわりついたマロンを大切に抱きかかえて、何度も頭をなでてあげた。

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